どうなる?肘故障した大谷翔平の今後。その最悪と最良の復帰シナリオとは?(THE PAGE)

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12月4日ーーエンゼルスのビリー・エプラーGM(ゼネラルマネージャー)が、大谷翔平と会った日の夜、26歳にして、すでに2度のMVP(最優秀選手)を獲得したマイク・トラウトがさっそく電話をかけてきて、まくしたてたそうだ。

「どうだった? どうだった? 大谷は、どんな感じだった?」

 4日後、大谷の代理人を務めるネズ・バレロが、エプラーGMに連絡を入れ、大谷の決断を伝えた。その電話から、しばらくして結婚式を翌日に控え、忙しいはずのトラウトが、またエプラーGMの携帯を鳴らした。

「決まったか? 決まったと言ってくれ!」

 エプラーGMが、「決まった!」と言うと、結婚式のために集まっていたエンゼルスのチームメートが電話の向こうで歓声を上げたそうだ。

 そのトラウトは、キャンプが始まっても大谷を積極的にサポートし、大谷絡みの取材も喜んで受けた。傍から見ても、二人の関係は特別に映った。

 そんな距離の近さゆえだろう。9日の試合前、メディアに囲まれた彼は、「本当に残念だ」と話し、落胆ぶりがその表情から伝わってきた。

「その前も、94マイル(151キロ)、95マイル(153キロ)の真っ直ぐを投げていたから。まさか…」

 実は、そんな反応こそ、大谷のケガの程度を物語る。

 右肘の内側側副靱帯損傷で、「グレード2」。3週間は、ノースロー。その後、どう転ぶかは、誰にも分からない。
 張りを訴えたのが6日の試合後。翌7日、ミネソタ遠征には帯同せず、大谷はアナハイムに残ってMRI検査(磁気共鳴画像装置)を受け、靭帯の損傷を確認。早速、「PRP注射」という自身の血液から採取した血小板を利用した再生治療が行われたとのことだが、部分断裂した靭帯は自然治癒することはなく、再生することもない。
 となると今後、どんなシナリオが想定できるのか。

 ベストは、2か月後の復帰だろう。

 スポーツ医学の「アメリカン・ジャーナル」に2013年7月に掲載された論文によれば、大谷と同じように靭帯を損傷し、PRP治療を施された34人のアスリートのその後を調査したところ、復帰までの平均は12週間。最短は10週間ーーつまり2か月ちょっとだった。

 もちろん、その時点で100%の状態に戻っているかと言えばその保証はないが、同じく「アメリカン・ジャーナル」によると、34人中30人が治療から70週間を経過した時点で、故障前と同じレベルに戻っているとのこと。大谷には心強いデータだ。

 では、そこまでどんな道のりをたどるのか。

 3週間後に再検査をして、その後のリハビリ日程が決まるようだが、問題がなければ、そこでキャッチボールを再開する。

 同じように靭帯を損傷し、大谷と同じPRP注射による治療を行ったヤンキースの田中将大の場合、2014年7月14日に治療を受け、ちょうど3週間後の8月4日にキャッチボールを開始。その後、8月16日に故障後初のブルペンに入り、9月21日に復帰という段階を踏んだ。

 大谷も3週間後の再検査で問題がなければ、すぐにでもボールを握ることが出来る。その後も田中と同じような経過をたどれば、8月中旬が復帰ターゲットか。

ただ、リハビリ過程、あるいは復帰してから痛みが再発した場合はどうなるのか。

その可能性は十分にあり、今年4月、チームメートのJC・ラミレスがそうした経緯をたどり、トミー・ジョン手術(側副靱帯再建手術)に踏み切った。先程触れたように、PRP注射の効果は認められるようになったものの根本的な解決策ではない。

 仮に手術ということになれば、最低でも復帰まで1年はかかる。もちろん個人差はあるが、先発投手ならば、14か月は覚悟が必要。2015年3月に同手術を受けたダルビッシュ有(カブス)の場合も14か月だった。

 8月に手術をすれば、おそらく来季も棒に振ることになる。投手としての復帰は2020年4月か。今すぐ手術をすれば、来年8月には復帰可能かもしれないが、いずれにしても3週間は様子を見て、その後が決まる。

 その一方で、打者・大谷にはどんな影響があるのか?

 エプラーGMは8日、電話会見で、「(靭帯を損傷していても)指名打者なら出場可能」という認識を示したが、当面は、打つことによってケガを悪化させる可能性を否定出来ないので、打者でも出場させないーーという方針。あくまでも、投手としての復帰を優先し、その目処がついてから、打者としての復帰を探るということのよう。
 しかし、8月に手術した場合、投手としては来季絶望だが、トミー・ジョン手術を受けた野手が復帰に要する時間は、早ければ6か月、通常は8~9か月なので、打者としては手術を受けても来年の開幕に間に合う。

 であるなら、来季は打者に専念するという選択肢はあるのか。

 それでは投手としてのリハビリが疎かになる、あるいは、リスクを伴うという捉え方もあるが、打撃が可能な選手ーーしかもクリーンナップを打てる打者を、1年間も起用しない、ということがあるのだろうか。
 もしそうだとすれば、それこそが、ワーストのシナリオか。前例がないことなので、エンゼルスも大谷本人も、今後のシナリオを慎重に考えているはず。

 できるだけリスクを排除しながら、どう大谷を生かすか。そこでは二刀流の起用法同様、クリエイティブな発想が求められるのかもしれない。

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