関西・多くのスター輩出する「大衆演劇」その魅力とは(THE PAGE)

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 このところ大衆演劇が盛り上がりをみせている。全国に約60の劇場がある中、関西にはその半数にあたる約30か所の専門劇場がある。その中からは多くのスターが生まれ、NHK紅白歌合戦にも出場歌手の応援演舞で出演した「劇団九州男」の大川良太郎座長(40)もそんな1人だ。そこで、5周年を迎えた大衆演劇場「梅田呉服座」(大阪市北区)に足を運び、ステージをのぞいてみた。

北山たけしの応援としてNHK紅白歌合戦で演舞披露

 大川良太郎さんは、大阪出身。様々な舞台に立ち、映画やテレビ出演をはじめ、2009年には、第60回NHK紅白歌合戦で演歌歌手の北山たけしの応援として演舞も披露した。今や大衆演劇を牽引する1人だ。

 25歳の時に座長になり、一度劇団を出て商業演劇を3年ほどやっていた時期もある。チャレンジャーで業界の風雲児とも言われる大川さんは「芸能的なブームはだいたい関東から始まると思うのですが、大衆演劇は不思議ですよね。関西のおばちゃんのノリと大衆演劇のノリが合っているのですかね。関東で公演もしますが、関東は全体的にお客さんがおとなしい。初日や千秋楽は、どっと盛り上がるのですが、それ以外は歌舞伎を観るような雰囲気です。その雰囲気はずっと変わらないですね」と話す。

 この日の舞台では涙を誘う時代劇芝居、歌謡、舞踊ショーと3時間ほどで、内容盛りだくさんだった。踊りの時の着替えは7回にも及び、流し目でポーズを決めれば、女性たちから黄色い声援が飛んでいた。

最近は若手座長が業界を引っぱっている

 大衆演劇は昭和初期に最盛期を迎えたが、戦後はテレビの普及や娯楽の多様化などでいったん下火に。1980年代、浅草から梅沢富美男らスターが出て人気が再燃した。最近は若手座長が業界を引っぱるようになっている。

 大阪・梅田のオフィス街にある「梅田呉服座」は専門劇場(常打小屋)として2013年5月に誕生した。座席数245。舞台の“せり”など充実した設備が特徴だ。

 各劇団はそれぞれ1か月の公演(連日ほぼ2回公演)を行い、その間、劇団員はここで暮らすことになる。支配人の山崎理史さん(呉服座二代目)は「最近は代替わりによる座長の若年齢化が進み、若いお客さんも増えています。2年ほど前から旅行会社や鉄道会社と提携し、中国や台湾などの団体ツアー客などを受け入れ、訪日外国人が毎月2000人ほど訪れるようにもなりました」と、近年の傾向を話してくれた。

大衆演劇・伝統の「女形」

 ところで、大衆演劇には必ず女形が登場するが、これは伝統で変えられないという。「女形のステージがなかったら、手抜きって言われる。今日はやる気がなかったんかって。女形をせずにいくらこだわった演目をしても、評価につながらない」と大川さん。

 それを踏まえ、舞踊の構成はパターン化せずに飽きさせない工夫を凝らし、毎日出し物を変える。「芝居、歌、踊りとありますから、前の晩にかなり練習しています。1日の公演が終わった瞬間に頭を全部真っ白にして稽古の時にはあくる日のものを入れていきます」

 劇団員は現在16人。ステージを観て入団するケースが多いというが、今の若い人たちにとっては、休みがないのが辛いようで、劇団員はそれほど増えてはいないという。

ファン楽しみの「送り出し」で元気にしていきたい

 また、大衆演劇はとくにお客との距離が近く、終了後は「送り出し」(外で観客を送り出す)があり、この時にツーショット写真などを撮る女性たちも多い。

 「皆さん、送り出しを楽しみにしておられます。舞台を観て元気になったと言ってくださる方も多い。“大川クリニック”というか、3時間の公演でこれからもお客さまを元気にしていきたい。現状に安住せずに新たな道を追求していきたい」と、大川さんは熱いメッセージを送る。

 大衆演劇のファンだという50代女性は、「3年くらいかけていろいろ観て回ったんですけど、良太郎さんが一番好きですね。芝居がうまい。人気にあぐらをかいてはらへん。とくに女形がいい、長し目がいいです。小さい頃、梅沢富美男さんを初めて見て、大衆演劇のファンになりました。今月は良太郎さんを10回は観に来る予定です」と、嬉しそうだった。

(文責/フリーライター・北代靖典)

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